「保育士は責任が重い仕事なのに、給料が見合わない」——そう感じている方は少なくありません。実際、保育士の給料が低い背景には、業界特有の構造的な理由があります。この記事では、給料が安いと言われる理由と、実際の改善傾向、そして年収を上げるための具体的な方法をまとめました。
なぜ保育士の給料は安いと言われるのか
保育園の運営費は、国が定めた「公定価格」という基準にもとづいて決まっており、園が自由に料金を設定できる一般企業とは仕組みが異なります。人件費に充てられる予算にも上限が生まれやすく、これが給与水準に影響しています。
さらに、同じ制度・同じ公定価格のもとで運営されていても、残った予算の使い道は園によって異なります。
- 職員の給料や手当に還元する園
- 園舎の建て替えや設備投資に充てる園
- 将来に備えて運営資金として確保しておく園
つまり、制度上の制約に加えて、園ごとの経営方針の違いによっても給料に差が生まれる仕組みになっています。同じ地域・同じ業務内容でも、園によって給与水準がかなり異なるのはこのためです。
実際は改善傾向にある
「保育士の給料は安くて当たり前」というイメージが根強くありますが、ここ数年で状況は着実に変化しています。
- 2015年から「処遇改善等加算I」が施行され、勤続年数に応じて国や自治体からの補助金の加算率が上がる仕組みが整備されました
- 2017年からは「処遇改善等加算II」も始まり、キャリアアップ研修を受けて一定の役職に就いた保育士に、月額5,000円(職務分野別リーダー)〜4万円(副主任保育士)の手当が加算される制度も導入されています
- 私立保育所に勤める常勤保育士の給与月額は、5年間で4万6,000円上昇したというデータもあります(賞与の1/12を含む)
- 2024年度には人件費の10.7%引き上げも実施されています
制度の改善が進んでいる一方で、その恩恵が実際の給与にどこまで反映されているかは園によって差があります。「制度があるから安くても仕方ない」と諦める前に、自分の園でその加算がきちんと給与に反映されているかを確認してみる価値はあります。
年収を上げるための方法
今の職場でキャリアアップを目指す
キャリアアップ研修を受講し、「職務分野別リーダー」「専門リーダー」「副主任保育士」といった役職に就くことで、月額の処遇改善手当を受けられます。今の職場に大きな不満がなければ、まずはこのルートを検討する価値があります。
給与水準の高い職場に転職する
同じ制度のもとでも、園によって給与への還元度合いは異なります。基本給や昇給の仕組みが明確な園に転職することで、年収が伸びやすくなるケースもあります。
施設形態・雇用形態で比較する
公立・私立、認可・認可外、企業主導型保育など、施設形態によって給与体系が異なります。派遣という働き方も選択肢に入れると、時給ベースで比較しやすくなります。
転職で給料を上げる際に注意したいこと
月給の総額だけでなく内訳を確認する
月給総額が高く見えても、基本給が低く昇給ルールが曖昧な求人では、長く働いても年収が伸びにくいことがあります。基本給・手当・賞与の内訳まで確認することが大切です。
昇給・賞与の実績を確認する
「昇給あり」と書かれていても、実際にどの程度の頻度・金額で昇給しているかは園によって異なります。求人票の記載だけで判断せず、可能であれば面接や説明会で実績を聞いておきましょう。
給料だけで判断しない
給与が高くても、業務量や残業時間、人間関係などの要因で長く続けられなければ本末転倒です。給料と働きやすさのバランスを見て判断することが大切です。
転職エージェントを使うメリット
給与水準は求人票だけでは分かりにくい部分も多く、園によっては非公開の給与体系や昇給実績について、転職エージェントを通じて詳しく聞ける場合があります。条件交渉のサポートを受けられるのも、一人で転職活動を進めるより有利な点です。
保育士人材バンクは、非公開の職場内情報に強みを持つサービスで、給与体系や昇給の実態についても事前に相談しやすいのが特徴です。詳しくは保育士人材バンクの評判・口コミ記事で紹介しています。
派遣という働き方も含めて時給ベースで比較したい方は、ほいく畑もあわせてチェックしてみてください。
よくある質問
Q. 保育士の給料は今後も上がる見込みはありますか?
A. 国は処遇改善加算などの制度整備を進めており、上昇傾向にあります。ただし、実際にどこまで給与に反映されるかは園によって差があるため、職場選びが重要です。
Q. キャリアアップ研修の受講費用はかかりますか?
A. 基本的には無料とされていますが、研修の実施主体や受講形式によって異なる場合があるため、勤務先や地域の保育士支援センターに確認するのが確実です。
Q. 転職すれば必ず給料は上がりますか?
A. 必ず上がるとは限りません。園ごとに給与体系が異なるため、事前に基本給・手当・昇給実績などを確認した上で判断することが大切です。
まとめ
保育士の給料が安いと言われる背景には、公定価格制度による構造的な事情がありますが、処遇改善加算などの制度整備により状況は着実に改善しています。今の職場でキャリアアップを目指す方法と、給与水準の高い職場に転職する方法、どちらも選択肢として検討しながら、自分に合った形で年収アップを目指してみてください。
